クリニック開業に必要な資格ある？

必要な医師免許のみ

結論から言えば、クリニックを開業するという目的であれば医師免許のみで済みます。開業する方に医師免許がなくても、持っている方が院長で管理者になれば開業可能です。年齢や就業年数も問われません。

ただし、開業すると経営を続けなければなりません。地域の方に「あの医者はいい」と評価してもらうには、医院経営という観点からも考えなければならないのです。そのためには医師免許以外の資格を持っていたほうがいいでしょう。

地域で同じ診療科目を設定している開業医はたくさんあります。特定の病院に通院している方に「病院を変えてもいい」と思ってもらうには、信頼を勝ち取らなければなりません。その点で医師免許にプラスし、資格があれば強みになります。

クリニック開業時に取得しておくと役立つ資格とは

医師免許以外で開業時に有利になる資格は複数あります。多くは経営に関する資格です。他者の信頼性を得るという以外に、経営方法という点で役立ちます。

医療経営士

医療機関の運営を目的とした試験制度です。一般社団法人日本医療経営実践協会が行っています。3級は医療や医療経営の基本を身につけられるレベルです。1級は経営幹部として意思決定ができるレベルで医師を想定しています。

3級は受験資格不要で、2級から、3級合格後に日本医療経営実践協会に正会員登録していることが必須条件です。1級受験のためには2級に合格している、医療経営士2級に正会員として登録していることが求められます。

記述式の第一試験の合格とその後の口頭試問、第二次試験では個人面接の合格が必要です。勉強方法は、協会が推薦している試験対策テキストもあります。他にも試験対策講座もあるため合格の確実性を高めたいなら受講をおすすめします。

医業経営コンサルタント

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会による認定資格です。クリニック、病院、医療、介護施設を対象とした経営コンサルタント資格です。ただ、試験に合格すれば終わりではなく、継続的な研修や履修が義務付けられています。

資格を得るには協会が主催している指定講座の受講が必要です。また、筆記試験の一次試験、論文審査の二次審査の合格後、協会の正会員登録をすることが条件として設定されています。

継続的な研修や履修は忙しい病院経営の中では煩わしく感じる方もいるかもしれません。ただ、医療経営を長期的に行う上で、必要な知識を学べる場であり、資質と能力を工場させたいならメリットは大きいです。一般公開医業経営実務講座は、医師以外に、医療機関勤務の事務や看護、コメディカルの方なども受講しています。

病院経営管理士

一般社団法人日本病院会の認定資格です。日本病院会は病院の事務長の育成が目的で、「病院経営管理士通信教育」卒業生を対象としています。医師限定の資格ではなく、病院経営に関連する全職種を対象に、募集しているのが特徴です。

医療関連の科目、経営管理関連の科目、経営管理演習など、幅広いカリキュラムを用意しています。病院理事長や医師や大学教授が講師陣です。一般社団法人日本病院会の「病院経営管理士通信教育」は2年間の受講で、医療関連科目、経営管理科目、経営管理演習、特別講座や卒業論文までの39科目49単位の修了が求められます。

修了すると、日本病院会認定「病院経営管理士」に登録される流れです。50名前後、少人数制のスクーリングもあり、同期生とのネットワークを構築したい方にも適しています。

防火管理者

医療とは関係ありませんが、施設管理者として必要です。消防法により、建物の用途や居住や勤務する人、収容人数により防火管理者を専任しなければなりません。開業前に消防署への防火管理者選任届や消防計画書などの届け出が義務付けられています。

「病院の防火管理者は医師の経営者が持っていなければならない」という規定はありません。事務長やスタッフでも許可されています。ただ、防火管理者が退職した場合、問題が出てくるのです。そのため、医師や経営者が取得しておいたほうがいいでしょう。

防火管理者は、消防計画の策定、日常的な火気管理や消防用設備の点検管理、火災に備えた避難訓練や消火訓練が必要です。一般社団法人日本防火・防災協会実施の防火管理者講習の受講と、講習後の効果測定の合格で防火管理者資格が取得できます。

┗各見出しの資格について、概要や取得方法などをまとめてください

まとめ

クリニックを開業するなら、経営者としての視点や能力も求められます。開業してもその点がおろそかになると、患者が来院せず、開店休業状態になりかねません。そのため、経営に関する資格を取得する価値はあります。

資格取得にはある程度の勉強も必要です。継続した研修や履修が求められる資格もあるため、診療や経営に関する業務をこなしながらだと大変かもしれません。ただ、患者から選ばれるクリニックのためには必要な知識ともいえます。クリニックを開業して他医院と差をつけるためにも取得を検討してみてください。