仙台市の「一般皮膚科」開業事情

一般皮膚科の診療範囲をおさらい

皮膚疾患全般の診断・治療を、主に保険適用で提供するのが一般皮膚科。皮膚のかゆみ・痛み・赤み・乾燥肌・アトピー性皮膚炎・ニキビ・虫刺され・かぶれ・いぼ・魚の目・湿疹・蕁麻疹・水虫・ヘルペス・帯状疱疹・外傷といった、様々な皮膚疾患に対応します。

また、毛髪や頭皮、爪も皮膚の一部となっているためこちらも診療範囲です。レーザーによる、ホクロ・しみなどの除去を取り扱うこともあります。

一般皮膚科を開業する際の注意点

単価が低いため集患できる戦略が必要

一般皮膚科は比較的単価が低いため、ある程度の集患が必要。仙台の一般皮膚科では、皮膚科だけでなく内科・小児科・アレルギー科などを併設し、集患につなげているクリニックが見られます。一般皮膚科のみで開業するのであれば、シミ・しわに対するレーザー照射といった自費診療のメニューを取り入れるなどの特色を打ち出すようにしましょう。

来院する患者に合わせたクリニックづくり

小さな子どもから高齢者まで、幅広い年齢層の患者が訪れる皮膚科。そのため、ベビーカーや車いすでも来院しやすいバリアフリー仕様にしたり、スムーズに診察を行うための受付順番待ちシステムなどを導入するとよいでしょう。

また、場所によっては駐車場が必要となるケースもあるので、十分な診療圏調査を行なった上で必要台数分を用意しましょう。

一般皮膚科を開業する際に準備する道具・機器

顕微鏡

水虫の原因菌である白癬菌や、真菌・カンジダなどの直接鏡検に必要な機器です。病変部の痂皮・鱗屑・水泡などをピンセットで少量採取し、顕微鏡で直接見て調べます。異汗性湿疹と足白癬など、まぎらわしい皮膚疾患の鑑別に欠かせません。

ダーモスコープ（医療用拡大鏡）

ダーモスコープとは、ホクロ・しみ・悪性黒色腫（メラノーマ）といった、色素病変を10～30倍に拡大して診断する機器。色素病変のほか、脂漏性角化症・尋常性疣贅・老人性脂腺増殖症・ボーエン病・血管腫などの診断にも用いられます。

レーザー系機器

さまざまな皮膚の症状に有効とされる波長のレーザーを当て、治療する機器です。しみ・そばかす・アザなどの治療ができるQスイッチレーザー、ホクロ・イボなどを除去できるCO2レーザー（炭酸ガスレーザー）など、症状に合わせて使い分ける必要があります。

ナローバンドUVB療法（紫外線治療器）

311～313㎜という、皮膚治療への有効性が確認された波長の紫外線を照射する治療機器。 アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・尋常性白斑・慢性苔癬状粃糠疹・菌状息肉症といった皮膚病については、健康保険適用での治療が可能です。

一般皮膚科の平均年収

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2012年9月に公表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査 」では、皮膚科医の平均年収は1078.7万円でした。公表されている診療科目の年収を高い方から並べると、以下のようになります。

診療科目	平均年収
脳神経外科	1480.3万円
産科・婦人科	1466.3万円
外科	1374.2万円
麻酔科	1335.2万円
整形外科	1289.9万円
呼吸器科・消化器科・循環器科	1267.2万円
内科	1247.4万円
精神科	1230.2万円
小児科	1220.5万円
救急科	1215.3万円
その他	1171.5万円
放射線科	1103.3万円
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科	1078.7万円

引用元：独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」 （https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf）

公表されている他の診療科目と比べると皮膚科医は、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科と並んで、もっとも平均年収が低くなっています。年収の差が出る要因は一概には言えませんが、上位の診療科目と比べて緊急性が高い治療が求められるケースが少ないことも、要因の一つと考えられるでしょう。

一般皮膚科の開業のポイント

立地

一般皮膚科は他の診療科目と比べると、単価が安いです。そのため、患者数を確保できるよう視認性の高さを重視して立地を考えましょう。また、できるだけ多くの患者を診療できるよう、受付・待合室の面積が広く取れる場所がおすすめです。

仕事の休憩時間や帰宅前に診療を受ける人も少なくありません。オフィス街で駅からもアクセスがいい場所だと、患者が確保しやすくなります。アレルギー対応に重点を置いている皮膚科は、子どもの患者も多くなりますから、大規模マンションや住宅街に近いエリアもおすすめです。

一般皮膚科に加えて、美容皮膚科を同時に開設する場合は、インターネット検索からの流入が多くなることが予想できます。駅から近い、ショッピングモール内にあるなど、アクセスの良さを考えることも大切です。

内装

一般皮膚科に来院する患者の中には、感染する皮膚病にかかっている人がいることを想定しなければなりません。内装は感染対策がしやすいよう、自動ドアにする、靴のまま診療が受けられるようにするといった工夫が必要です。

また、水虫・ヘルペスなどの場合、症状を周りの人に聞かれたくないという人も多いです。防音対策を行い、患者のプライバシーを守りましょう。治療の際に服を脱がなければならないこともあるので、扉の内側にカーテンを設置しているクリニックもあります。明るい照明か、無影灯を設置すれば、治療がしやすいでしょう。

美容皮膚科を設置しない場合でも、パウダールームがあると女性患者を確保しやすいです。アメニティを充実させれば、クリニックとしての強みになります。

採用

一般皮膚科は医師に加え、医療事務・看護師を採用する必要があります。看護助手を採用しているクリニックも多いです。

美容皮膚科も併設する場合は、施術スタッフも雇用しなければなりません。福利厚生にスタッフへの施術実施を盛り込むと、募集時に注目してもらいやすいです。

マーケティング

皮膚科には老若男女さまざまな患者が来院します。幅広い世代にアピールするためには、WEB広告に加えて、インターネットを活用しない世代に向けたチラシでの宣伝も効果的です。また視認性の高い看板を設置してアピールすることで、多くの人を来院誘導できます。

小児皮膚科に対応している場合は、子育て世代に向けてSNSを活用するのも効果的です。小児皮膚科に力を入れるのであれば、小児科と連携を取ることで双方が患者を紹介しあえるメリットも生まれます。

ほくろやあざの治療など、保険適用外だと思われている治療が保険適用になることも積極的に訴求しましょう。美容皮膚科にも対応する場合は、最新機器や症例などをホームページで紹介することも大切です。

成功事例

一般皮膚科の場合、小児皮膚科にも力を入れることで、保護者からの信頼が集まります。その結果、成人患者の集客に成功するケースも多いです。女性の来院が多い一般皮膚科ですが、子どもの診察には母親が付き合うことが多いため、スムーズに女性を集客できます。

また、皮膚科と内科を併設することで、成功した事例も多いです。皮膚科の繁忙期は夏ですが、内科の繁忙期は秋から冬になります。繁忙期が異なる二つの診療科目を設置することで、閑散期がなくなり、効果的な集客が可能です。

皮膚病にコンプレックスを感じている人は多く、口コミで評判がよければ、遠方からの来院も見込めます。診療内容はもちろんですが、オンライン予約システムを導入し、待ち時間対策を行ったことで、評判が上がったという成功事例もあります。

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