
仙台のクリニック開業を成功に導く クリニック開業設立ガイド
診療所を開業するにあたって、自宅兼診療所も一つの方法です。自宅兼診療所とは、自宅と診療所が一つ屋根の下にある建物になります。基本的に自宅と診療所のスペースは分離されているため、プライベートな空間が侵される心配もありません。
自宅兼診療所であれば通勤時間が短縮できる・子育て中でも働きやすいなどのメリットがあります。ここでは自宅兼診療所のメリットについて見ていきましょう。
診療所が自宅と離れていれば、わざわざ通勤する手間がかかり、時間も要してしまいます。自宅と診療所が同じ場所にあると、大幅に通勤時間短縮につながるでしょう。部屋を移動するだけなので、通勤時間はほぼなく、プライベートな時間を有効に活用しやすくなります。また夜間など急患にも対応しやすいといったメリットも。
もし子育て中であれば、子供の様子を仕事中も見守りたいと思うこともあるでしょう。自宅兼診療所であれば、気軽に子供のいる場所まで移動可能です。とくに小さな子供や見守りが欠かせない子供がいるケースなら、同じ空間にある点では大きなメリットと言えます。
自宅と診療所が別々であれば、それぞれでローンを返済しなければなりません。しかし自宅兼診療所であれば、住宅ローンを一つにまとめることができ、利息などの負担を減らせるでしょう。
自宅兼診療所の場合、居住エリアの自治会など地域の方々と触れ合う機会も多くあり、地域のコミュニティーの一員になりやすいでしょう。そのため診療所も地域に根付いた運営ができ、地域住民からも受け入れやすいといったメリットがあります。
自宅兼診療所には大きなメリットがありますが、ただメリットだけではありません。自宅兼診療所を検討するのであれば、必ずデメリットについても把握しておきましょう。
自宅兼診療所の最大のデメリットが、地域住民にプライベートが知られてしまうという点です。たとえば家族構成・所有している車・子供の学校など様々な情報が知れ渡るため、プライベートと仕事を完全に分けたいと考えている方にとっては、大きなデメリットと言えます。とくに医師イコール高収入と思われがちなので、高級車に乗っていれば嫌味などを言われる恐れもあるでしょう。
一般的に自宅兼診療所は、住宅街に建てるケースが多いでしょう。住宅街に建てることでアクセスがしにくいため、集患が難しいという場合もあります。そのため自宅兼診療所を建てる時には、立地面を配慮しなければなりません。
自宅兼診療所で後悔しないためには、ポイントを押さえた開業が大切になってきます。ここでは開業するポイントを見ていきましょう。
自宅兼診療所ではプライバシーを配慮した間取りなどを考える必要があります。たとえば自宅と診療所の玄関は別々にし、できれば玄関を別の方角に設置するようにしましょう。また車を知られたくないなら、駐車スペースにシャッターを設ける、地下に駐車するなどの工夫も必要になってきます。
診療所によっては、大きな音が出る設備を設置するケースもあります。そういった設備を自宅そばに設置してしまえば、騒音などの問題が発生し、プライベート空間が快適にならない恐れも。そのため音の出る設備は自宅から遠くの場所に置くようにしましょう。また患者が自宅に立ち入らないような動線を確保することも大切です。
基本的には住宅街でも違和感のない看板が良いでしょう。しかし目立たなければ、クリニックの存在がアピールできず、集客できないデメリットも。そのため一目でクリニックという看板のデザインを考えることが大切です。ただ閉院後の看板などが気になるのであれば、自宅兼診療所の建設に詳しい業者と相談しながら決めていきましょう。
自宅兼診療所の場合、家賃や光熱費などをどうやって分けた方が良いのか分かりにくいこともあるでしょう。自宅兼診療所の税理処理を行う場合は按分という仕組みを活用していきます。ここでは按分について分かりやすく解説するので、チェックしてください。
金銭や物品などを割り振ることを「按分」と言います。この按分は確定申告などの税処理だけでなく、私たちの日常においても実情に応じた数値を割り出すときに用いられているのです。
たとえば3人で食事をしたとき、食事代をそれぞれの人数で割ることを「割り勘」と呼びます。均等に食べていれば発生した費用を3で割れば算出できますが、たとえば一人が4回盛り付け、もう一人は3回、最後の一人は2回と考えれば、3で割るだけでは不平等です。その場合は盛り付けた回数に合わせて、それぞれの費用を算出しなければなりません。
仮に料理の合計が3,000円とすると、全員が盛り付けた回数はトータルで9回。盛り付け1回につき約333円と考えられます。その結果、4回盛り付けた方は1332円、3回盛り付けた方は999円、2回盛り付けた方は666円となります。3円余りが出ますが、比較的正確に費用を振り分けることができるでしょう。
按分の概要について分かれば、次に事業における按分を把握していきましょう。
確定申告や経費に関して按分を行うケースが多く、自宅兼診療所の場合には自宅として使っている部分と診療所として使う部分が存在します。そのため全てを経費にするのは絶対にNGです。あくまでも事業として使用する部分だけが経費として扱われるので、按分によって経費を明確にしなければなりません。固定資産税・家賃・光熱費・通信費・交際費などが按分する項目となります。
専有面積・使用日数・使用時間などを考慮して按分の割合を設定していきます。事業として使用している日数・時間が多ければ多いほど、按分の割合も増えるという考え方です。たとえば自宅兼診療所の8割ほどを業務として活用している場合、8割にかかる費用が経費として計上できます。もちろん按分するにあたって明確に割合を求めることは不可能です。そのため税務調査で指摘を受けた場合、合理的な内容を返答できれば問題はありません。
ただし合理的ではないと判断されれば過少申告と判断される恐れもあるので、実情に合った按分の割合を設定しましょう。
自宅兼診療所を事業主の土地に建設した場合には、自宅部分・診療所部分に分けて按分を行います。自宅の部分に関しては一切経費として計上できませんが、住宅ローンを使用しているなら住宅借入金等特別控除の対象となることも。
自宅部分と診療所部分の按分は床面積で算出するのが一般的です。床面積の割合に応じて、自宅部分・診療所部分の経費を算出してください。
持ち家で自宅兼診療所を行う際、固定資産税に関しては床面積・稼働日数・稼働時間などで家事按分を経費として計上可能です。
固定資産税を50万円とし、総床面積100㎡のワンルームマンションのうち30㎡を診療所として利用するケースだと、業務使用率は業務使用30㎡から総床面積100㎡をわると30%ほどとなります。固定資産税に30%をかけて算出し求められた15万円が事業関連費として計上できるのです。
固定資産税を50万円とし、在宅時間20時間のうち8時間を業務使用時間と定めます。業務使用8時間を在宅時間20時間で割ると、業務使用率は40%です。固定資産税50万円に40%をかけて算出された20万円が事業関連費となります。
自宅兼診療所の光熱費も家事按分を行うことで経費計上できます。その際使用時間で按分する方法もありますが、コンセント数で按分することも可能です。
電気代1万円で全コンセント数が10個とし、そのうち2個を業務に使用している場合、業務使用率は20%となります。電気代に業務使用率をかけて求められた2,000円が事業関連費となるのです。
家賃に関しても、上記と同様に床面積・時間・日時などをもとに家事按分にて経費が計上できます。経費の算出方法に関しては、固定資産税の経費を算出する際と同じ求め方です。
自宅兼診療所なら通勤時間の短縮や子育てしやすい、急患対応がしやすいなどのメリットがあります。ただプライバシーを確保しにくいなどのデメリットもあるので注意しましょう。しっかりとメリット・デメリットを押さえた上で、自宅兼診療所のスタイルでクリニックを運営するかどうかを慎重に検討してください。
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クリニックを開業するにあたって、クリニックを新たに建てる・借りる・自宅兼診療所にするといった方法で迷うだろう。このページでは自宅兼診療所にするメリット・デメリット、ポイントなどをまとめたから、ぜひ参考にしてほしいんだ。