クリニック開業の資金調達は金利が鍵

クリニック開業の資金調達成功の鍵は金利

クリニックの開業を実現させるには、多額の資金が必要です。多くの場合、自己資金だけで全てを賄うのは現実的ではなく、金融機関からの融資を得ることが基本となります。ただ、借りられれば良いという訳ではなく、経営に大きな影響を与える「金利」についてもケアが必要です。

この記事では、クリニック開業を考える方々に向けて、融資における金利の重要性から、金利の種類、そして資金調達先の選び方まで、基本的な知識を解説します。

クリニックを開業するには、物件の取得や内装工事、医療機器の導入などで数千万円から1億円以上もの資金が必要になる可能性もあります。大きな金額を借り入れる場合、0.1%の金利差であっても、総返済額に数百万円単位の影響が出てくる可能性があります。

金利は、開業後のクリニック経営における運転資金や、新たな設備投資への余力に影響します。したがって、金利は単なるコストではなく、将来の経営安定性を左右する重要な要素として捉える必要があるのです。安定したクリニック運営の基盤を築くためにも、金利に対する正しい理解をしましょう。

融資を検討する際に、まず理解しておきたいのが金利の種類となります。金利は大別して「固定金利」と「変動金利」の2つです。それぞれに異なる特徴があり、どちらも良し悪しがあります。事業計画やリスクに対する考え方によって、どちらを選ぶか考えなくてはなりません。

固定金利は、借入期間中の金利が一定で保たれます。市場の金利が変動しても返済額は変わらないため、将来にわたる資金計画が立てやすい点がメリットです。一方で、一般的には変動金利よりも少し高めの金利が設定される傾向があります。

変動金利は、市場の金利動向に応じて定期的に金利が見直されるタイプです。金利が低い時期には返済額を抑えられるメリットがありますが、将来的に金利が上昇した場合には返済負担が増えるリスクも伴います。クリニックの開業資金融資では、変動金利が一般的とされる場合も多いようです。

クリニックの開業資金を融資している機関は一つではありません。それぞれに特徴があるため、複数の選択肢を比較検討することが重要です。代表的な融資先としては、以下のような機関が挙げられます。

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、新規事業への支援に積極的で、比較的低い金利で融資を受けやすいとされています。特に「新規開業資金」や「女性、若者／シニア起業家支援資金」といった制度は、これから開業を目指す医師にとって心強い選択肢となるでしょう。

次に、都市銀行や地方銀行、信用金庫といった民間の金融機関も有力な相談先です。これらの機関は、独自のクリニック開業ローンを提供している場合があり、担当者と直接交渉することで柔軟な条件を引き出せる可能性もあります。

また、地域の医師会や地方自治体が、提携する金融機関を通じて有利な条件の融資制度を設けていることもあります。

どの金融機関から融資を受ける場合でも、審査を通過するためには適切な収支や運営の計画などが記載された事業計画書が大切になります。なぜその場所で開業するのか、どのような医療を提供し、地域にどう貢献したいのかといった理念に加え、具体的な収支計画を示さなくては、融資は受けられません。

そして、一つの金融機関だけでなく、複数の機関に相談し、提示された金利や返済期間といった条件の比較も大切です。

融資以外にも、国や自治体が提供する返済不要の「補助金」や「助成金」といった制度も存在するため、活用できるものがないか情報収集をしましょう。資金調達は複雑な面もありますが、基本となる知識を身につけ、専門家の助言も得ながら進めることで、開業がスムーズになります。