クリニック開業は挨拶回りから
クリニック開業するなら挨拶回りをしっかりと
クリニック開業の届け出や内装・スタッフ採用と並び、地域と信頼関係を築く最初のステップが挨拶回りです。診療科の専門性や広告よりも「どのような医師が来たのか」を近隣の医療機関・薬局・住民は注視しています。ここで丁寧に顔をつないでおくと、紹介・連携・口コミがスムーズに広がり、開業後の集患にも好影響です。挨拶をおろそかにすると、開業での良いスタートダッシュを逃すことになりかねません。
挨拶回りがもたらすメリット
- 医療機関連携の土台づくり:対応できない検査・入院が必要な患者を速やかに紹介してもらえ、自院から紹介する際にも受け入れ調整が円滑に
- 行政・医師会ネットワークへのアクセス:地区医師会に早期加入すると検診委託や予防接種事業など行政案件の情報が入りやすくなる
- 地域住民への認知と安心感:商店街や町内会で先生が直接あいさつに来たという話題が口コミを生み、開業前から認知向上が可能に
主な挨拶先とタイミング
- 地区医師会・郡市医師会:物件契約確定後に訪問し、役員に入会意思を伝え手続きスケジュールを確認
- 近隣の病院・他科クリニック:内装工事開始前までに余裕を持って訪問しての自己紹介が好印象
- 調剤薬局・訪問看護ステーション・介護事業所:開業2〜3か月前に挨拶し、ポスター掲示や在宅医療連携相談を依頼すると双方にメリット
- 商店街組合・町内会・PTA:開業1〜2か月前に代表者を訪問し、チラシ配布や掲示板活用の協力をお願いする
- 旧勤務先の上司・同僚医師:開業日確定後にハガキか訪問で報告。近距離なら直接、遠方なら挨拶状でも失礼にならない
医師本人が行くべき挨拶先
- 医療関係者への挨拶:医師会、医療機関、薬局などは院長本人が行き専門分野や紹介体制を自分の言葉で説明できるため
- 地域住民への挨拶:商店街やテナント内店舗も本人が顔を出すことで地域密着への本気度が伝わる。時間が取れない場合は日を分けて訪問する
手土産・挨拶状のマナー
- 手土産:菓子折りや個包装焼き菓子を500〜1000円程度で用意し、院名ロゴ入りメモ帳や処方箋封筒を添えると宣伝効果がある
- 挨拶状:遠方の恩師や学会関係者、地域住民多数にはハガキを郵送し、丁寧な挨拶とともに開院日・診療時間・専門科目・地図を簡潔に記載する
スケジュールと効率化のコツ
- 訪問先リストを作成:医師会役員、基幹病院、介護事業所、地権者など抜け漏れを防ぐ
- ルートマップ化:地図にピンを打ち1日あたりの訪問件数を設定すると移動ロスが減る
- アポイント取得:病院や薬局は事前電話が無難、商店街は飛び込みでも歓迎されることが多い
- 挨拶状・チラシ印刷は外注:オンデマンド印刷とポスティング業者活用でコストと時間を圧縮
- 訪問記録を共有:スタッフと共有メモを作り、いただいた助言や注意点を次回の接遇に反映
クリニックの新規開業は挨拶回りも丁寧に
挨拶回りは医療連携、行政情報、地域PRの起点です。顔の見える関係づくりが開業後の紹介患者や検診委託につながると考えておきましょう。院長自らの対応は、誠意として相手に伝わります。新規開業時にしかできないことでもあるので、良い機会としましょう。