“伊達の地”仙台でのクリニック設立ガイド
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クリニック開業後の疑義照会を減らす薬局との連携のコツ

診療中に薬局から「疑義照会」の電話がかかってきて、診察の手を止めざるを得なかった経験がある医師は少なくありません。勤務医時代には他の医師やスタッフに任せられた場面もあったかもしれませんが、開業すると院長自身がこの対応に向き合う場面が増えます。

こちらの記事では、疑義照会がなぜ発生するのか、処方の工夫でどこまで減らせるのか、そして薬局との連携によって対応そのものを効率化する方法を解説します。

なぜ疑義照会の電話が多いのか

疑義照会は、大きく「形式的な疑義照会」と「薬学的な疑義照会」の2つに分けられます。

形式的な疑義照会

処方箋の記載内容そのものに不備がある場合の照会です。薬剤の規格記載漏れ、用法・用量の記載が不明確、医師の記名・押印の不備のほか、処方箋の有効期限(発行日を含めて4日以内が原則)が切れている場合や、販売中止・名称変更となった品目を処方している場合などが該当します。

これらは処方箋作成時のチェック体制次第で減らせる余地が大きい照会です。

薬学的な疑義照会

禁忌薬や慎重投与薬の処方、薬剤同士の相互作用リスク、患者の副作用歴への配慮不足、残薬確認の実施状況などに関する照会です。こちらは薬剤師の専門的な確認によって患者の安全を守るための照会であり、件数自体をゼロにすることを目指すものではありません。

参照元:PHC株式会社 メディコム事業部
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/ph-management-prescription-question

処方の工夫で減らせる疑義照会

形式的な疑義照会は、処方段階でのちょっとした注意によって発生を抑えられます。開業後、電子カルテやレセコンの処方入力フローを整える際に、以下のような点をチェック項目として組み込んでおくと効果的です。

これらは電子カルテのテンプレート機能や処方セットを活用することで、入力段階でのミスをある程度自動的に防ぐことも可能です。開業時の電子カルテ選定の段階で、処方入力のチェック機能がどこまで備わっているかを確認しておくとよいでしょう。

「疑義照会簡素化プロトコル」を薬局と結ぶという選択肢

疑義照会の中には、事前に医師と薬局側で取り決めをしておくことで、電話でのやり取りなしに薬局側の判断で対応できるようにする仕組みがあります。これを「疑義照会簡素化プロトコル」と呼びます。

具体的には、剤形変更や後発医薬品への変更といった、日常的に発生しやすい軽微な変更について、あらかじめ医師が許容する範囲を取り決めておき、その範囲内であれば薬局が電話をかけずに対応できるようにするものです。国立がん研究センター中央病院や山梨大学医学部附属病院などでは、こうしたプロトコルを整備し、「規定の項目において合意をおこなった保険調剤薬局に限り、処方医への疑義照会を不要とする」運用要領を公式に公開しています。ただし、対応可能な変更範囲の詳細は各病院が個別に定めているため、実際に導入する場合は連携先の薬局と協議しながら自院に合った範囲を取り決める必要があります。

参照元:国立がん研究センター中央病院
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/pharmacy/040/protocol/index.html

個人開業のクリニックでこうしたプロトコルをそのまま導入するのは簡単ではありませんが、近隣の連携薬局との間で「よく発生する照会パターン」を洗い出し、対応方針を事前に共有しておくという考え方自体は、規模の大小を問わず取り入れられます。開業後、連携する薬局が固定されてくる時期に、一度こうした話し合いの場を持つことを検討してみるとよいでしょう。

トレーシングレポートを開業医側がどう活かすか

疑義照会が「その場で確認が必要な内容」であるのに対して、緊急性は低いものの医師に伝えておきたい情報を薬局側から共有する仕組みが「トレーシングレポート」です。残薬状況、服薬状況、副作用の可能性がある症状の有無などが、処方後にレポート形式で届けられます。

新潟県薬剤師会の事例集によれば、薬局からのトレーシングレポートによる情報提供・処方提案を受けた医師のうち94%が「レポートは有用である」と回答したという調査結果(令和4年度)が紹介されています。開業後は、こうしたレポートを「誰が確認し、どう次回診療に反映するか」という院内フローをあらかじめ決めておくことで、受け取ったレポートが放置されずに活用されやすくなります。

参照元:新潟県薬剤師会「情報提供・処方提案実践のためのトレーシングレポート事例集」(令和6年3月)
https://www.niiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/20240325_TRjireishu.pdf

電子処方箋化で照会・報告の記録も変わっていく

電子処方箋の導入が進むと、疑義照会やトレーシングレポートのやり取りそのものも、電話や紙だけに頼らないデジタルな記録に移行していく可能性があります。医療DXへの対応を検討する際は、こうした薬局とのコミュニケーション面への影響もあわせて考えておくとよいでしょう。

クリニック開業の医療DX対応
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まとめ

疑義照会は薬局側の業務としてイメージされがちですが、処方段階での工夫や薬局との事前の取り決めによって、開業医側からも発生を抑える余地があります。形式的な照会は処方入力の運用でカバーし、薬学的な照会は患者の安全を守るための必要なプロセスとして向き合う、という切り分けを意識することが、無理のない業務効率化の第一歩になります。

開業準備の段階では診療そのものへの備えに意識が向きがちですが、こうした開業後の日常的な業務フローまで見据えて準備を進めておくと、開業後の負担を減らしやすくなります。院内の業務品質全体を見直す際の参考にしてみてください。

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